阿部健人(Abe, Kento)
出身:神奈川県
アメリカでの所属:メリーランド大学
日本での所属: 静岡学園高校
ポジション:DF
久しぶりのアメリカ生活、コロナ禍での渡米になりましたね
メリーランド州は感染者数もまだ発生している(2021 年2 月時点)ので、集会などは厳しく制限されています。サッカー部はまだ感染者が出ていません。去年7 月から練習を開始できたのはサッカー部だけ。毎週コロナ検査を受けています。他のスポーツは練習できず、パーティーして感染者を出す悪循環になっていました。去年、体育会全体をシャットダウンする決定したときも、サッカー部だけは一週間のみのクローズで、何とか紅白戦と練習だけはできました。
メリーランド(大学)はアメフトがあまり強くないこともあって、サッカー部に権力やつながりがあります。他の強豪校はアメフトの収入が(全体の)80%を占めますが、この大学は40%ぐらいです。過去にボストンに住んでいたこと時はサッカー文化は根付いておらず、女子サッカーのイメージがありました。高校生の時にアメリカサッカーを改めて見て、以前とは全然違い、半端な気持ちでは成功できないなと感じました。実際に来てみると、自分が思っていた以上にレベルは高かったです。
ビッグテン( 強豪カンファレンス) の名門チーム。どんな感じ?
まず、年齢もばらばらで、日本のように18歳の新入生から、いちばん上が25 歳の韓国人選手までいます。僕の代だと、カナダ代表でU-17W 杯出場、イングランド2 部でプレーしている選手、スロバキア代表、バイエルンミュンヘンのアカデミー出身などです。高校から留学しているアフリカ出身の選手は、スプリントの速さが異次元ですが、足元はあまりなかったりします。
今、日本はスペインサッカーが主流でショートパスを中心とするのに対し、監督も同部屋の子も、イングランドのプレミア(リーグ)を見ていて、縦に早いサッカーを意識しています。ポジショニングとか重視していたのが、急にグランドを広く使うプレーに苦労します。決して俊敏な感じではないですが、フィジカルが求められ、ロングボールやフィードなど、キックの質は高くなりますね。1対1もがつがつ…日本人として自分の不利な点は分かっているので、ヘディングならセカンドボールをねらうのですが、監督はとりあえずぶつかれと言います。技術だけ見れば日本人のほうが上です。ただ、日本は上手なプレーを求めてしまいますが、ピッチに入ったらそれは美化される必要はない、と気付かされます。
静学のきわどいところを攻めるスタイルとは違いますね。
そうなんです。選手の中には僕と同じスタイルを好む人も多いです。でも、プロになった先輩たちともやりとりさせてもらって、それも四年間のプロセスとして考えるのが良いよ、(その先輩も)2 年生から試合に絡み始めたから、いま焦る必要はないと言ってもらって、ありがたいです。日本人とは違う動きを、頭を使って勝負しながらトレーニングしているところです。1対1のときは先に間合いを詰めて、前に行かせないという風にしていますね。少しでもあいたらぶちぬかれるので。
どんな学生生活を送っていますか?
大学の授業は、各部活にいるアシスタントに相談しながら履修する授業を決めます。学期によって、午前は練習、午後は授業、というような。運動機能学というか、スポーツ学を学ぼうかと考えていて、何かしら自分のキャリアに役に立つものにしたいと思って入学時に決めました。
学業面でも知名度のある大学なので、チームメイトはサッカーも勉強もできてダブルメジャー(専攻を2つ取る)選手もいれば、サッカーできてプロになれれば良い、と考えている選手もいます。年齢はあまり関係なく、自信満々で元気あふれる態度、アグレッシブにいく姿勢がアメリカの「男らしさ」かなと。日本人の控えめな姿について、監督は文化の違いも汲み取ってくれる一方、「もっと表現して」ということも言われます。
将来についての考えを聞かせてください!
MLS に入る、プロになることを目指している生活ですが、アメリカに、そして大学に行かせてもらっていることから、サッカー以外もいろいろなものを吸収したいです。理想はドラフトされてMLSで活躍した後にヨーロッパ等でプレー出来たらと思っていますが、引退時に、自分のしたいことに全力に向かえる知識を今、学んでいます。